昔ながらの農法にこだわる、メオさんご夫妻の農場 第1話 〜フランス〜

野枝コラム 昔ながらの農法にこだわる、メオさんご夫妻の農場 第1話 〜フランス〜

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植物を愛し、環境を守り、知識を後世に伝えていく。

2018年6月20日〜7月5日までの約2週間、フランスとイギリスの農場やアロマショップ、植物園などを回り取材をさせていただきました。

フランスでは、強いこだわりを持って芳香植物を栽培・蒸留している農場や、精油の成分分析を厳格に行っているアロマショップを訪れ、彼らが暮らしの中に力むことなく自然にアロマやハーブを取り入れている姿にとても刺激を受けました。

イギリスでは、ベジタリアン&ビーガンレストランや、世界遺産の王立植物園を訪れ、たくさんの貴重な経験をすることができました。

これから何回かに分けて、現地での写真の一部をご覧いただきながら、どのように芳香植物を育てて蒸留しているのか、植物療法にどのようなこだわりを持っているのか、現在のフランスやイギリスのアロマやハーブ事情はどのようになっているのかなどを、少しずつご紹介できたらなと思っています*

フランス メオさんご夫妻の農場入口

この日訪れたのは、フランス ドローム県にある、昔ながらの農法にこだわるメオさんご夫妻の心安らぐ農場です。

教えていただいた住所のところに行っても看板も何もなくて、何度も「ここかな?いや、違うよね・・・」と言いながら往復したのですが、このグリーンのアーチに囲まれた小道を入って行くと、農場主のメオさんご夫妻が迎えてくださいました。

フランス メオさんご夫妻とワンチャン

こちらの農場は、「Syndicat des Simples(サンディカ サンプル)」という組合に所属しています。
Simples組合は、1982年に薬草、食品、化粧品、染料の採集や生産をする方々の団体として生まれたもので、環境の保護に取り組みながら、植物資源の保全、品質にこだわった商品の生産などを行なっています。

この組合に加入している生産者の方々は、伝統的農法の知識、薬用植物や芳香植物に関する知識をしっかり学び、自分たちの農場のためだけにそのノウハウを使うのではなく、「その知識を後世に伝えていく」という事にも力を入れていらっしゃるそう。

なので、私のような個人がいきなり日本から「見学したいです!」と連絡しても快く受け入れてくださり、半日以上かけて見学をたっぷりさせてくださったり、惜しみなく情報を提供してくださったり、植物や自然を愛する人々への入門コースなどを提供されたりしているのです。

センティフォリアローズのシロップ漬け

着くとすぐに、こんな飲み物を出してくださいました。
これは、農場で取れたローズを摘んでシロップにしたものです。

この農場では、ダマスクローズとセンティフォリアローズという2種類のバラを栽培しています。
こちらのシロップはセンティフォリアローズの花びらを漬け込み、それをお水で割ったものでした。
とっても香り高くてほのかな甘さがあり、うっとりするほどの美味しさでした♪

乾いた喉を潤したら、ここから見学の始まりです。
早速、水蒸気蒸留器を見せていただいたのですが、なんと年季の入った蒸留器!
この地方でずっと使われてきている古いものを、今でも大切に大切に使っていらっしゃいます。

水蒸気蒸留器

書籍などで紹介されている「水蒸気蒸留法のしくみ」のイラストそのままという感じですよね。
左下の穴の中で薪を燃やし、熱した水蒸気を植物に当てる。釜の中は、植物が直接水にさわらないように網が敷いてあって、その上に植物を配置しています。
そして、芳香成分をたっぷりふくんだ蒸気を冷やして液化させ、その中のわずかな油分が精油になり、香りの成分を少し含んだ水分がハーブウォーターになっていくのです。

さて、ここからは農場を見て回ります。
まずは、ラベンダー・アングスティフォリアから。

ラベンダー・アングスティフォリア

ラベンダーにはたくさんの品種がありますが、今回農場やアロマショップを回ると、ラベンダーの品種の違いをきちんと理解して精油を使ってほしいとおっしゃる方がとても多かったことに驚きました。

「リラックスや安眠に使うのであれば、アングスティフォリア種でなければ意味がないわよ。」
「感染症に使うならば、スパイクラベンダー(ラベンダー・スピカ)がおすすめだよ。」

そんな風に、みなさんラベンダーの品種について力説されていたのが印象的でした。

ラベンダー・アングスティフォリア

というのも、フランスでは最近アングスティフォリア種とスピカ種を適当に交配させて量産し、成分がはっきりしないものを安く売る業者も出てきているからだそうです。

フランスでは質の高い精油が日本よりも手に入りやすい反面、やはり現地で生の声を聞かせていただくと、丁寧に心をこめて栽培をされている農場の方や、きちんと成分にこだわった精油を販売しているお店の方が嘆いてしまうような、粗悪な商品も少なからず流通していることがわかりました。

大きな農場は満開になったラベンダーをトラクターで一気に刈り込んでいくのですが、この農場はSimples組合の決まりに従って、近代的な機械を使わずに手摘みで丁寧に摘み取っていきます。

エキナセア

次はエキナセア。この植物は水溶性の成分が豊富なので、精油よりもハーブウォーターに向いていると言えるでしょう。
エキナセアウォーターは免疫系の働きを促進する作用があり、風邪や気管支炎などの予防や初期症状の改善にも使われています。

また、エキナセアは植えておくと近くに生えている他の植物も強くすると昔から言われているそうで、多くの農場で見ることができます。

エキナセアのチンキ

この農場では写真のように、アルコールにつけて芳香チンキにもしていました。
これは販売用ではなくて、ご夫婦がお茶やヨーグルトに入れて風邪予防に使われているそうです。

カモマイル・ローマン

こちらはカモマイル・ローマン。
精油を一定量採るにはとてつもない花の数が必要になるので、大量生産をしていないこの農場では、主にハーブウォーターとハーブティー、そしてほんの数本の精油を採るために栽培しています。
花々は写真のずっと奥まで続いていて、あと数週間するとあたり一面が真っ白になるほど咲き誇るそう!

まだまだ続く農場の旅。
少し長くなってしまったので、この続きは第2話でまたお伝えをさせていただきますね*